Tuesday, August 10, 2010

Windowsが数値計算に向かない1つの理由

PGI® Workstation/ServerWindows®版の詳細からの引用。
# 64ビット Windows版の PGI コンパイラでは、2GB以上の単一オブジェクトを扱うことができる Linux上の -mcmodel=medium オプションと等価な機能を提供しておりません。これは、Microsoft(R) Win64 プログラミング・モデルが、まだ 2GB を超える静的な単一データオブジェクトのハンドリングをサポートしていないためです。従って、2GB を超える静的配列を扱うようなプログラムでは、実行モジュールは生成できません。たとえ Windows 64ビット版であっても、2GBを超える単一配列オブジェクトがプログラム上に存在する場合、静的な配列宣言はできず、動的な配列宣言(Allocatable 配列宣言)を行う必要があります。これは、PGI コンパイラの制約ではなく、Win64 プログラムモデルの問題です。従って、2GB以上のデータオブジェクトを扱うプログラムをコンパイルする場合は、現在のところ、このような制約がない Linux 版の方が適しています。
※ 静的な単一配列オブジェクトとは、具体的に言えば、Fortranでは、COMMON 文宣言、ルーチン内でローカルに宣言された配列であっても、その総和が 2GB を超えるもの(メモリマップ上、シングルセクション上に割り付けられる)、C言語では、STATIC 宣言された配列等が相当します。なお、Fortran の allocatable 宣言された配列は 2GB 以上であっても問題なく実行モジュールを生成できます。

Windows x64 (Win64) は、64ビットのアドレス空間は使用できるものの、そのプログラミングモデルにおいては、上記のとおり 単一の静的データあるいはデータセクションのサイズが、2GB 以内に制限されております。従来の静的宣言された配列の多いプログラムでは大きな制約となり、2GB 以上使用するプログラムではリンケージでエラーとなるケースが出てきます。この制約は、コンパイラの問題ではなく、Win64 上の共通の制限ですので、フルに 2GB 以上の個別データ領域を使用するプログラムをコンパイル・実行したい場合は、「Linux」でのコンパイル・実行環境を強く推奨します。

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